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2026年11月2日 成年後見 成年後見制度が変わる!
改正のポイントと具体的変更点を司法書士が解説

すっかり涼しくなってきましたね。

温かい食べ物が食べたくなる今日この頃です。

 

さて、今回は、前回の私のブログでも少し触れた、成年後見制度の大改正の内容を、深堀りしてみたいと思います。少し長文になりますが、お付き合いください。

1.そもそも成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない方を、法律面から支える制度です。

例えば、次のような場面で利用が検討されます。

- 認知症の親が所有する不動産を売却したい

- 判断能力が低下した家族の預貯金を管理する必要がある

- 遺産分割協議をする必要があるが、相続人の一人が自分で判断することが難しい

- 本人が契約内容を十分に理解できず、不利益な契約を結んでしまうことが心配

 

現行の法定後見制度には、「後見」「保佐」「補助」という3つの類型があります。

本人の判断能力の程度に応じて利用する類型が決まり、それぞれについて、後見人等が本人を支援するための権限が法律で定められています。

 

しかし、本人に必要な支援は、一人ひとり異なります。

日常生活のことは自分で決められるものの、不動産の売却など特定の手続について支援が必要な方もいれば、重要な財産管理について継続的な支援が必要な方もいます。

こうした個々の事情に、より柔軟に対応できる制度にすることが、今回の見直しの大きな目的です。

 

2.成年後見制度はどう変わる? 

本人の利益のため特に必要がある場合に、補助人を解任できる仕組みなどを整備今回の改正では、制度の仕組みや利用期間、本人の意思の尊重などについて見直しが行われます。

 

主な変更点を比較してみましょう。

比較項目 現行制度 改正後の制度
制度の種類 後見・保佐・補助の3類型 後見・保佐を廃止し、補助の制度に一元化
支援の範囲 類型に応じて法律上の権限が定められている 本人に必要な支援に応じて、代理権や取消権などを設定する仕組み
本人の判断能力が大きく低下した場合 成年後見制度などによって本人を保護 特定補助人を付する仕組みなどにより、必要な財産上の保護を確保
支援する期間 本人の判断能力が回復しない場合など、制度の終了が難しいことがある 保護の必要性がなくなった場合に、家庭裁判所が審判を取り消せる仕組みを整備
支援する人の交代 後見人等の交代には家庭裁判所の手続が必要 本人の利益のため特に必要がある場合に、補助人を解任できる仕組みなどを整備
本人の意思の尊重 本人の意思や状況への配慮が求められる 本人の意向を把握するための規定などを整備し、自己決定をより尊重する仕組みへ

※改正後の制度は、施行後に適用されます。具体的な権限や制度の終了については、法律上の要件や家庭裁判所の審判などによって決まります。

 それでは次に、特に重要な変更点を具体例とともに見ていきましょう。

 

3.改正ポイント① 

必要な支援に応じて権限を設定する仕組みへ

今回の改正で大きく変わるのが、制度の仕組みです。

現行制度では、本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助のいずれかを利用することになりますが、改正後は、補助の制度に一元化したうえで、本人に必要な支援に応じて代理権や取消権などを設定する仕組みになります。

 

【具体例:認知症の親が所有する空き家を売却したい】

 

例えば、認知症になった親が、誰も住んでいない空き家を所有しているとします。

建物の老朽化が進み、維持管理にも費用がかかるため、家族は売却を考えています。

しかし、親は不動産の売却という重要な手続について、自分で適切に判断することが難しくなっています。

一方で、日常生活のことは自分で決められ、自分の希望を伝えることもできます。

家族としては、空き家を売却するために支援が必要であっても、親が自分でできることまで制限されてしまうのではないかと心配するかもしれません。

 

現行制度では、本人の判断能力の程度などに応じて利用する類型が決まり、その類型に応じた権限が設定されます。

改正後は、本人に必要な支援の内容に応じて権限を設定する仕組みになるため、不動産の売却に必要な支援と、本人が自分で決められることを区別して考えやすくなります。

もちろん、希望すれば必ず特定の代理権が認められるわけではありません。本人の状態や支援の必要性などを踏まえ、家庭裁判所の審判によって決まります。

 

 

それでも、本人に必要な支援を確保しながら、本人の意思や自己決定を尊重することを目指している点は、今回の改正の重要なポイントです。

4.改正ポイント② 

制度を利用する必要がなくなった場合、終了を検討できる

成年後見制度について、ご家族からよく聞かれる疑問の一つに、次のようなものがあります。

「一度、成年後見制度を利用したら、ずっと続けなければならないのでしょうか?」

 

現行制度では、本人の判断能力が回復するなど、法律上の終了事由に該当しない限り、制度の利用を終了することは容易ではありません。

そのため、利用を始める際には、将来にわたって制度が続く可能性も考慮する必要があります。

 

今回の改正では、本人を保護する必要性がなくなったと家庭裁判所が認める場合に、補助に関する審判を取り消すことができる仕組みが整備されます。

 

【具体例:当初必要だった財産管理の支援が終わったら?】

 

例えば、親が認知症になり、所有する不動産の売却などのために成年後見制度による支援を利用したとします。

その後、予定していた不動産の売却が完了しました。

家族としては、「当初必要だった手続が終わったのだから、制度の利用も終了できるのではないか」と考えるかもしれません。

改正後は、保護の必要性がなくなった場合に、制度に関する審判の取消しを求めることができる仕組みになります。

 

ただし、不動産の売却が終われば、自動的に制度が終了するわけではありません。

売却後も預貯金の管理や契約の支援などが必要であれば、引き続き制度を利用する必要があるかもしれません。

実際に終了できるかどうかは、本人の状況や支援の必要性などを踏まえ、家庭裁判所が判断します。

重要なのは、本人を保護する必要性がなくなった場合に、その必要性を改めて検討し、制度の終了を求められる仕組みが整備されることです。

 

5.改正ポイント③ 

判断能力が大きく低下した方への保護も設けられる

「後見・保佐・補助が一つの制度にまとまると、判断能力が大きく低下した人は十分に保護されなくなるのではないか」

このように心配される方もいるかもしれません。

 

しかし、改正法では、判断能力を欠く状態が常況にある方についても、特定補助人を付する仕組みが設けられています。

 

【具体例:高額な財産取引による不利益を防ぎたい】

 

例えば、認知症が進行し、財産に関する重要な判断を自分で行うことが難しくなった方がいるとします。

その方が、契約内容を十分に理解できないまま、高額な財産取引をしてしまった場合、本人の財産を守るための支援が必要です。

 

改正後の制度では、家庭裁判所の審判によって特定補助人を付し、法律で定められた重要な財産上の行為について取消権を持たせる仕組みなどが整備されます。

これにより、判断能力が大きく低下した方についても、必要な財産上の保護を確保することが目指されています。

 

つまり、制度を一元化することは、判断能力が大きく低下した方への保護をなくすという意味ではなく、本人の状態に応じて必要な保護を確保しながら、本人の意思や自己決定にも配慮する仕組みへと見直されるのです。

 

6.成年後見制度の改正で、家族は何を準備すればよい?

ここまで読んで、「制度が変わるなら、今から何か準備しておいた方がよいのだろうか」と考えた方もいるかもしれません。

ただし、焦る必要はありません。

まず大切なのは、制度改正の内容と施行時期を正しく理解することです。

 

改正法が成立・公布されたからといって、直ちにすべての利用者に新たな手続が必要になるわけではありません。

また、親が高齢になったからといって、必ず成年後見制度を利用しなければならないわけでもありません。

例えば、判断能力が十分にある段階であれば、将来に備えて任意後見契約や遺言などを検討することもできます。

財産の内容やご家族の状況によっては、財産管理の方法や相続対策を早めに考えておくことも大切です。

 

重要なのは、制度の利用そのものを目的にするのではなく、ご本人の意思や財産の状況、ご家族の希望などを踏まえて、適切な備えを考えることです。

 

なお、改正法は2026年6月24日に公布されていますが、成年後見制度の見直しに関する規定の施行日は、2026年11月2日時点ではまだ定められていません。公布の日から2年6か月を超えない範囲内で、政令により施行日が定められることになっています。

実際に制度の利用を検討する際には、最新の施行状況を確認することも重要です。

7.成年後見制度や将来の財産管理についての相談は、司法書士へ

ご家族の今後について
一緒に考えましょう。

成年後見制度は、判断能力が低下した方の権利や財産を守るための大切な制度です。

今回の改正では、本人に必要な支援に応じて権限を設定する仕組みや、保護の必要性がなくなった場合に制度の終了を検討できる仕組みなどが整備されます。

 

一方で、どのような支援が必要なのか、成年後見制度を利用することが適切なのかは、ご本人やご家族の状況によって異なります。

また、将来の財産管理に備える方法は、成年後見制度だけではありません。

 

司法書士には、成年後見制度の利用に関する相談のほか、遺言書の作成支援や相続対策などについても相談できます。

 

「親が認知症になったら、財産管理はどうなるのだろう」

「将来、自分が判断できなくなったときに備えておきたい」

「成年後見制度を利用した方がよいのか、ほかの方法があるのか知りたい」

当事務所でも、このような不安や疑問をお持ちの方からのご相談を、常日頃から沢山お受けしていますので、きっと相談後は、自分たちの進むべき方向性がわかり、少し肩の荷がおりた、とおっしゃっていただけると思います。

 

当事務所が大切にしているのは、制度の利用につなげることだけではなく、ご本人が自分の意思や権利が尊重されていると感じられたうえで、関係者も含め皆が安心して生活できることにつながるかどうか、という点です。

将来の財産管理やご家族のことで気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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